社外取締役の仕事とは?誰がなれる?
「社外取締役になりたい」グループのオーナーである一般社団法人 社外取締役女性ラボ(シャガラボ)代表理事 椿 奈緒子さんにお話を聞きました。
―椿さんは現在、レカム株式会社の社外取締役です。どうしたらなれるのか、どういうお仕事なのかなどいろいろと教えてください。
社外取締役ってどんな仕事なの?どうやって決まるの?といった情報は流通していませんよね。まず、どう決まるかでは、一番多いのは先方から直接依頼されるケース、それ以外は知人や団体からの紹介、人材紹介サービスによるマッチングが主なルートです。
役割は、情報収集など事前準備を行った上で、取締役会に参加し、決議や討議を行うことです。発言は議事録にも残りますし株主総会では社外取締役ご指名で質問を受けることもあります。キラキラしたイメージを持たれがちですが、責任の重い仕事です。
―女性社外取締役は弁護士など士業が多いようですが、椿さんは役員経験者であり経営者です。どういう能力が必要になるのでしょうか。
取締役のスキルマトリクスはありますが、ジョブディスクリプションはなく、有効な資格もありません。社外取締役は、就任後に自分の強みを活かせるか、株主が期待する役割にフィットするかが重要です。個人的な主観ですが、社外取締役は6つのタイプに分けられます。私は①で、得意分野は新規事業の立ち上げやデジタル系、マーケティングです。今まで社外取締役を務めた企業も現在も、他の社外取締役は年齢の高い男性なので、新規事業やDXは私が強い。シャガラボのメンバーは①のタイプが多いです。
―期待値をすり合わせる場はあるのですね。
最初に面談をします。面接ではないんですよ。考え方や得意分野、そして相性が合うかをお互いに確認します。私は、面談の際にはIR資料などを読みこんだ上で、経歴や強みをお伝えしつつ、自分の得意分野が先方の期待値と合っているのか確認するため、積極的に質問します。
―女性のロールモデルが足りないといわれる中で、その期待もあるのではないでしょうか。
社外取締役の女性がロールモデルになる期待を持たれるという話はよく聞きます。シャガラボには女性達の背中を押したいと考えて行動しているメンバー達もいます。とはいえ、普通は社員が社外取締役と接する機会がないですよね。私は、リーダー研修を提案し講師として登壇したり、研修を社内報で紹介してもらったりして自分から働きかけています。私にとっても、社員がどのように働いており会社に対してどう考えているか、リアルに把握することができるので、取締役会での議論に役立っています。企業のチームの一員として社外取締役を務めていることを、社員の皆さんにも知ってもらいたいのです。
―シャガラボ設立のきっかけや活動状況を教えてください。
独立系社外取締役は、孤立しがちで情報が外に出ない独特な職種なので、横のつながりが求められていると気づいたのです。メンバーは現役の女性社外取締役のみ(24年9月時点で37人)で、経験がある人は1社目に就任したばかりの人を助けます。困りごとがある、他の人はこんな時どうするか知りたいなどの発言に、当事者ならではのディープなアドバイスがすぐに集まります。Toget-HERでも重視しているシスターフッドのコミュニティです。女性社外取締役が、横のつながりから情報を得ることで、よりスピーディに価値を発揮できることが目的です。
―アクティブに活躍されている椿さんのお話を聞いて、社外取締役についてリアリティをもって理解することができました。最後に、社外取締役を目指したい女性にアドバイスをいただけますか。
「今の仕事を精いっぱい頑張る」です。自分の強みを磨き、その仕事でオンリーワン、日本一を目指しましょう!日本企業が抱える課題は、女性の取締役を社内から登用するのが難しいことだと思っています。現業で成果を上げて、事業責任者やグループ会社社長になることは、社内取締役登用への有力なパスになります。私自身、サイバーエージェントで新規事業責任者を務め、合弁会社の社長になりました。その経験がなければ、社外取締役にはなっていなかったでしょう。
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