デロイト トーマツグループのシンクタンクDTFAインスティテュートで、Toget-HERをリードする大塚泰子による提言レポート「『2025年女性役員比率19%』だけが目標ではない 内実ある男女格差是正を」を公開しました。
12/17に開催した白河桃子先生のウェビナー「今、女性リーダーが必要とされる理由」の中もお話があった、政府が掲げる数値目標が達成できていない状況や、女性が活躍できない企業のリスクについても解説しています。リンク先から全文をご一読ください。
「2025年女性役員比率19%」だけが目標ではない 内実ある男女格差是正を
男女格差を評価するジェンダーギャップ指数で、日本は148ヵ国中118位、G7の中で最下位であるだけでなく、他のアジア主要国にも立ち遅れています。女性の活躍が進む企業の方が業績も良いという調査結果は多く公表されていますが、さらに踏み込んで「女性が活躍しない企業のリスク」も認識すべきでしょう。
1. 資本市場における低評価
機関投資家は女性活躍情報を投資判断に活用しています。女性が活躍できない企業は、資本市場で低い評価を受ける可能性があります。
2. 優秀な人材獲得が困難になる
少子高齢化が進み人材不足が深刻化していますが、女性管理職比率などが低い企業では、採用が困難になり既に働いている人材の流出も起きかねません。
3. グループ・シンク(集団浅慮)に陥り意思決定を誤る
グループ・シンクとは、判断能力が下がった集団が不合理な意思決定を行う状態を指します。同一性が高く閉鎖的な集団で起こりやすいとされ、意思決定の場に多様性が浸透していることが重要です。
4. 女性消費者に向けたイノベーションが生まれない
製品やテクノロジーの開発は男性の研究者・技術者を中心として行われていることが多いため、無意識の性差が日常的な製品にも反映されています。自動車のシートベルトは妊婦などの女性が使っていて事故に遭った場合、重症化率が高いという問題が指摘されました。
日本政府は、格差是正に向けて「2025年に女性役員比率19%」など女性登用に関する数値目標を設定していますが、強制力がない努力目標のため、数字合わせに留まる企業もあり、男女格差の真の是正には不十分といわざるを得ません。諸外国では政治・経済分野に少数派に一定の比率を割り当てる「クオータ制」を導入する事例が多くみられます。世界的に女性の登用が遅れている日本が迅速に成果を得るためには、政府目標を周知させ、実効性を高めることが必要です。事態の改善がみられない場合は、ペナルティを伴うクオータ制のような、一定の強制力を持つ制度の導入も選択肢になりえます。
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