女性のライフプランは一辺倒ではない。多様化する女性のキャリアを社会の力に(会員インタビュー 篠崎侑美さん)

篠崎侑美

Career Bloom株式会社 代表取締役社長
東京都出身、慶應義塾大学文学部社会学科卒業。株式会社博報堂プロダクツ、Hilton Grand Vacations、プルデンシャル生命保険での勤務を経て創業。近年は営業管理職としてDE&I推進に積極的に関わり、女性採用・育成を行う。セミナーや研修も多数開催し、「女性が活躍し続ける」社会を目指す中、会社の枠組みを超えて女性同士がエンパワーする仕組み作りの必要性を強く感じ、2024年会社設立に至る。


――2024年に、企業の女性推進サポートや人材紹介を行うCareer Bloomを創業されています。企業が女性推進をする際のポイントはなんでしょうか。 

まずは、女性管理職育成など頭では理解していても、実際に今すぐ解決することの緊急性を感じていない、腰が重い、率先して「自分のボールだ」と捉えることはなかなか難しい、そんな課題でしょう。ダイエットや運動とよく似たものと捉えるのが一つ目のポイントです。面倒だけど継続して頑張れば、理想の自分になれるし健康にだってなれる。なかなか成果が見えないからこそ、少しの変化も喜びたいものですよね。お米を一切食べない・バナナしか食べないではうまくいかない、食事、運動、生活リズムなど全体を改善することが近道であるように、女性推進も一点突破で即日解決できるものではありません。だからこそ、継続は力なりです。 

二つ目のポイントは「男性と一緒にやること」でしょうか。この事業は、CBC株式会社と共同で行っています。CBCは創業100年を超えており、商社機能と製造機能の両方を強みとし独自のビジネスモデルを構築しています。社員が働きやすく離職率も低い企業なのですが、営業やマネジメントには主に男性が就いているのが現状です。女性推進が進んでいる!と言い切れない業界だからこそ、一緒に取り組む意義を感じています。日本企業の経営陣はほぼ年配の男性。彼らの意見や考え方を理解した上で向き合っていく必要がありますが、そのためには男性のメンバーが不可欠です。CBCから弊社に参画している取締役である小倉が「男社会が当たり前と思っていた私が変われたのだから、どんな古い体質の企業でもできる」と言っているのも心強いですね。

三つ目のポイントは、女性推進は「企業の持続的成長のため」ということ。女性推進という言葉の響きや、女性向けの施策だけを見ると、女性に優しくしたり引き上げたりすることが目的に感じてしまう方もいらっしゃいます。企業の多様化が謳われて久しいですが、それは全従業員が持てる力を余すところなく使わないと、労働力が追いつかないからだと私は考えます。だからこそ、もし女性がキャリアに集中できない構造的な問題があるなら解決しましょう、とお伝えしていますし、私たちは企業様の黒子となってサポートに徹します。

 

――女性活躍に強い問題意識を持って起業に至ったストーリーを教えてください。どのような経験をされてきたのでしょう。  

新卒で入社した博報堂プロダクツでもプルデンシャル生命保険でも、営業のキャリアを謳歌していました。営業成績の評価に男女差はないので、数字を上げている限りネガティブなこともありません。問題意識を持つきっかけになったのはプルデンシャル生命保険で管理職になった時です。今までとは全く別の光景を見てびっくりしました。管理職会議の場にいくとずらーーっと男性ばかり。普段は営業としても話すのは得意だったのですが、なんだか上手く話せないという経験をしました。発言することを諦めた自分にもまたショックで。マジック30とも言われていますが、30%を切ると本来の能力を発揮できない、それは人間だけではなくて動物もですが、これは組織にとっても問題だと痛感しましたね。きっと日本中の会社で上の立場になるほど女性は少なく、声が届かない構造になっていると危機感を覚えました。

一度問題に気づくと、ライフプランナーである自分にも違和感を覚えるようになりました。その当時、独身女性のお客様に「仮に30歳前後で結婚、子供を産むと30代半ばから50歳くらいは子育ての期間。独身時代と同様に働けそうですか?」と質問していました。相手が男性の時にはそんな質問はしないのに、です。これはもう大反省ですね。実際に女性のお客様から「出産後のキャリアが不安だ」と何度となくお伺いしました。彼女達の会社には、子育てをしながらでは活躍しにくい風土があって、不安を抱えていたのでしょう。想像はできても、本質的にその悩みに寄り添えていなかったと振り返って思います。私自身が古い価値観を無意識のうちに受け入れ、彼女達がキャリアを諦めることに同意してしまっていたかもしれません。出産をした先のキャリアに、もっとライフプランナーの立場でお伝えできたことがあったかもしれない…という思いも今の原動力につながっています。

男女差が当たり前になっている社会に私は根本的に気づいてしまった、一度見えてしまったら、もう見えなかった頃には戻れません。お客様、友人も実際にキャリアで苦しい経験や判断をされています。その人数が日々増えていくことに危機感は募る一方です。この危機感を信じ、違和感を受け入れるのではなく真剣に向き合いたい、という思いで起業しました。今の私だからできることに集中して、女性のキャリアを少しでも明るいものにできたら嬉しいですね。


――B2C事業として女性のキャリア支援をされている立場から、働く女性へのメッセージはありますか。  

一緒に頑張りましょう!いや、頑張らせてください!でしょうか。会社によっては女性が圧倒的に少ないことも多いですし、その環境で頑張り続けるのはしんどいことです。だからこそ、会社は違っても仲間意識を持てたらいいですよね。そして、一緒に仕事で経験を積んでいきましょう。手をあげることに躊躇せず、失敗を恐れずチャレンジする姿勢で一緒に失敗もしましょう。かすり傷ならセーフです!(笑)失敗から学んだ経験、責任を果たした経験など、あらゆる経験はキャリアを強く、豊かにしてくれます。


――Toget-HERのイベントご参加後にご自身のLinkedInで発信するなど、関心を寄せて頂きありがとうございます。Toget-HERに期待することなどを教えてください。  

大塚さんやサポーターはアベンジャーズ並みに女性のキャリアを強く応援してくださる方ばかり!(笑)Toget-HERは、アベンジャーズに直接会って話せるので、心強いことこの上なしです。会員の方はキャリアと真剣に向き合っている女性達だと感じます。私は、多くの人に出会い、支えられて成長し、人生が変わりました。Toget-HERの皆さんとは、名刺交換に留まらず、フラットに親しくお話できることを楽しみにしています。 


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